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2001/05/27[第10号] Japan Dietetics Institute
【食品のロス率】
5月1日より「食品リサイクル法」という法律が施行されたのをご存知ですか?
正式には「食品循環資源の再利用の促進に関する法律」という何とも長たらしい名前ですが、この法律ができた背景は
 ・廃棄物の最終処分場が減ってきている
という理由もあるのですが、とにかく電化製品や容器・包装のリサイクル法と同じく「使い捨て」ではなく「再利用できるものはして、責任を持ち処分する」ということが根底にあると考えます。

この法律は私達の家庭内で発生する生ゴミではなく食品関連事業者や、飲食店、ホテル・旅館、結婚式場などに対する法律で、この業種の施設ではこれから5年間で今までの「20%」のゴミの量を減らさなくてはなりません。
 
方法
実行の仕方
食品廃棄物の再生利用 肥料化 飼料化
発生を減らす 食べる量を考えての調理
減量化 水を切る ゴミ自体を減らす
 
上記のどのような方法でもよいからとにかくゴミを減らしていかなくてはならないというのがこの法律です。
例えば、見栄えの問題もあるでしょうが、皿数を減らしてその分、材料や手間にお金をかけるという手段もあります。又、実際にみなさんが聞いたことのある有名なホテルでは食べ残されたものをきちんと分別し、ホテル内で出た厨房排水からの汚泥と生ゴミとで”たい肥(コンポスト)”を作りホテル施設内の庭園や関連施設の緑化に使われているというのが先日テレビで紹介されていました。
又、そのコンポストを使いホテル内でハーブを育てお客様に料理として還元したり、これからは契約農家にそのコンポストを使って野菜を栽培してもらいそれを購入してホテルで使用するということも計画にはあるそうです。

そのことに興味をもち、翌日ホテルのホームページを開いてみました。
コストはというと・・・処理施設の開発費用に1億1000万。
しかし、年間の生ゴミ処理費用に3000万の費用がかかっていたという点からするとそれが”コンポストプラント”ができたことで不要になるので約3年で開発にかかった費用が回収できるというのですから素晴らしいの一言です。

環境にもやさしい・・・そんなホテルに泊まってみたいとさえ思いました。

なんだか従来の”生ごみ”のイメージがハーブや野菜の栽培に役立つというと払拭される気がしませんか?

 
「食品リサイクル法」は家庭内からのゴミとは関係ありません。
しかし、私達も無関心でいてはいけないと思いませんか?

地方によっては「生ゴミ処理機」の購入に補助をだしている所もあるくらいですからやはり家庭からのゴミの問題も無視するわけにはいきません。

家庭でできることはたくさんあります。
身近な所から食品事業者と同じようなことを実行していけばいいのです。 先ほどの「食品ロスの統計」では食べ残しよりも「食卓にあがる以前」に捨てられてしまうという食品が多いことがデータとしてあがっています。
まず、スーパーで「何が必要なのか」ということを考えてから食品を買うことも「ロス率」を下げる方法ですし、家にいったい何があるのか、賞味期限がどの位あるのか把握しておくことも大切です。 案外「食費がかかって仕方がない・・・」という家庭でも特売で買ったままで食べずに捨ててしまっているものありませんか?
これが減るとエンゲル係数も下がるかもしれません! 賞味期限は”美味しく食べられる期限”ですから賞味期限がきれていたとしても腐っているとは限りませんので、まず捨てる前に確認してみるのも良いでしょう。

小さい頃ご飯を残そうとすると母親や祖母に「お百姓さんんが一生懸命作ったものを粗末にすると目がつぶれる」と言われたものでした。
田舎ならともかく、外での遊び場さえ満足に確保されていない子供たちにこういう話をしてもピンとこないはず。せめて「冷蔵庫の中のものがまた腐ってる・・・」なんて言われないように。

10年前の米不足の時、昔の米騒動を思わせるかのように「米泥棒」が入ったということがありました。人間、ことに日本人はあるものがある日突然なくなると大変なパニック状態になります。(そう言えばオイルショックの時も・・・・)「”ある”のが当たり前」ですが、日本はまぎれもなく「自給できない国」なのですか
ら、「ありがたい気持ち」を常のどこかで持ち続けなくてはいけません。

食べ物や環境のことまずは自分たちにできる身近なことから考えて取り組んでいきましょう。
 

参考:ホテルニューオータニ東京  http://www.newotani.co.jp/tokyo/
 
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