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2001/05/13[第8号] Japan Dietetics Institute
【ビール酵母の話】
 

最近話題の「ビール酵母」
ビール酵母ダイエットというものまで登場しているとか。

どうして「ビール酵母」が今もてはやされているのか色々聞いてみるととどうやら最初は「健康雑誌」でとりあげられて、その後に「テレビ」で紹介されたとか・・
いつものことながら「テレビ」の威力の大きさには脱帽。

会員の方からもちょっとした問い合わせもあったので、今回は「ビール酵母」の実態について少しお話を
すすめてみたいと思います。

 
チーズ・ヨーグルト・ワイン・清酒・ビール・みそ・醤油・お酢・納豆

この食品すべてに共通することは何でしょう?
わかりますよね。そうですすべて「発酵」されてできた食品です。
わかりやすく言えば「微生物が作った食品」なのです。
これら発酵食品の原点は「チーズ」であるのご存知でしたか?
 
紀元前13〜14世紀にアラビア人が乾燥した羊の胃袋で作った水筒にやぎの乳をいれて旅にでて喉の渇きをいやそうと水筒をあけたら、やぎの乳が分離して「チーズのような塊」ができていたと・・・・
これがチーズの歴史(発酵食品の歴史)のはじまりです。

前おきはこれくらいにで・・
本題のビールの誕生はどのくらい前かというと農耕文化が発達し始めた紀元前3000〜2000年頃と言われ、発祥の地はバビロニア(現:イラク)やエジプトというからハンパな歴史じゃなさそうです。

最初、大麦を発芽させてパンを作り、そのパンをちぎったものに水を加えて発酵させてできたものが古代のビールであり現代のビールの原形となっているのです。
 
■ビール大麦(二条大麦)
■ホップ(つる性の植物でビールに使用されるのは花を摘み取り乾燥したもの)
                               ・・・ビールの苦みと香りを引き出す
■水
プラス
副原料(米・とうもろこし(コーンスターチ)・苦味料・着色料
 
→→→ これらの割合は「酒税法」という法律で決まっています。
 
ビール大麦を麦芽にして、他の原料と一緒に煮ることで「麦汁」ができます。
それらを「ろ過」して発酵の段階へと移っていきます。 このときが「ビール酵母」の出番です。
 
日本の大手メーカーのビールはほとんど「下面発酵」という発酵法ですが、一部、「上面発酵」で作られているビールもあるようです。
 
発酵の違いは使う酵母の種類によって違うというのです。
上面発酵はビールの発酵中どんどんと液体の上面に酵母が集まってくるのですが、下面発酵はというとだんだんと底の方へ酵母が沈んで集まってくるのです。
 
一般のビールの製造過程では「保存性」を高める為に沈んだ酵母を濾過してしまいます。
(ここからがビール酵母の第2ステージ)
酵母は発酵する時に麦汁に含まれる栄養をたっぷりと吸収しています。
その成分が乾燥後もしっかりと残っている為に「乾燥ビール酵母」はサプリメントなどの第2の人生を歩めるのです。
しかし、熱処理を加えているので酵母は死んでおり、発酵する力はありません。しかし、生きている酵母より死んでいる酵母の方が体内への吸収率が上がるというのですから驚きです。
 
豆知識:この乾燥ビール酵母は古くは紀元前に古代ギリシアで医薬品として使用されており、また日本では70年ほど前から使われているそうです。
 
■たんぱく質(必須アミノ酸8種をすべてを含む) → 成長には欠かせない
  必須アミノ酸・・・体内で合成されず食べ物でしか摂取できないアミノ酸のこと

■ビタミンB群(B1、B2、B6、B12) → 体内の生理調整機能を保つ

■食物繊維 → 整腸作用をもつ

■カリウム → 塩分排泄

■リン・葉酸 → 貧血防止 ■核酸(RNA) → たんぱく質の合成を仲介・老化予防

※女性にはうれしい肌の老化を防止したり、美白効果を高める”グルタチオン”も含有
 
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