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2001/03/21[第6号] Japan Dietetics Institute
【削りぶしの話】
仕事柄、食品関係の仕事をする人との関わりが多いもので、時に驚いたり、「どうして?」と思わず考えてしまうような話を聞く機会がよくあります。
今回は「削りぶしメーカー」の人に以前聞いたおもしろい話をもとに話をすすめてみようと思います。

今回のテーマは「削りぶしとだし」についてです。

削りぶしメーカーのお客様相談室の人から以前こんなことを聞きました。

「年に数回、お客様相談室にかかってくるクレ−ムに『うちの猫が最近”かつおぶし”を食べない・・・』というのがあるんだけど。」
という話でした。
「悲しいけど”かつおぶし”ってペットフードくらいにしか考えてないのかなあ」としょんぼり。

炊き立てのあったかいご飯に"かつおぶし”をのっけてお醤油をちょっぴりたらすとこれは絶品!
いくら行儀が悪いと言われようともあの美味しさはたまりません。

「私」は喜んでも「猫」は喜ばないっ・・・?

最近のキャットフードは”○○のテリーヌ”のような豪華なものもあるようですし、そう言えば、前に友人が「うちの上司のうちは猫が上司よりいいものを食べているらしい・・・」というの聞いて笑ったことがありました。

日本人と同じで「猫」の食生活までも欧米化?
昔はどの家庭にでも”削り器”があり、朝、味噌汁をたく前に「シュッシュ」と削るのが習慣だったと聞きますが、今は”料理人”であってもなかなか”自分で削る”という人は少ないように思います。

スーパーにいけばちゃんと削って袋に入ったものが売られているのですから。

20年位前に「3g」とか「5g」とかいう「小袋」に入ったものが「カツオパック」として売り出された時は、いわゆる「ヒット商品」でその製品が誕生する以前と比較すると”売上げ”が何倍にもあがったという話がこの業界では伝説らしいのですが、今は「・・・・
「風味調味料」や「だしパック」などが安価で売られ、使い勝手が良いのと合いまって本家の「削りぶし・煮干し」というのは売上げが伸び悩んでいるというのがメーカーとしても頭の痛い所だそうです。

昨今では「まな板・包丁」のない家庭もあるというのですから主婦というのはいかに”便利で且つ安く・美味しく”ということを求めているのかが想像できます。
 

当研究所の献立の材料に「出し汁」とあったら皆さんはどうしていますか?
かつお・昆布派?それとも煮干派?
もしかしたらだしの素?

まあ、それは好みや手間のこともありますから皆さんにおまかせしましょう。

”だし”をとるのって結構めんどくさいと思う方多いと思うんです。
でもきちんととった"だし"って美味しいんですよ。

だしがきちんときいているとお醤油や塩などが控えられるので健康にもいいですし、特に「減塩」が必要な方にはご自分で”出し汁”をとることを是非ともお勧めしたいものです。

少し話しが横道に外れますが、乾物屋さんからこんな話をきいたことがあります。

スーパーに家族で買い物に行った際、”風味調味料(だしの素)”の販売で味噌汁を作り試食販売していたらしいのです。幼稚園に通うその人の子供さんがそれを試食したとき「変な味・・・・」と言ったというのです。乾物屋さんの主力商品は「削りぶし・昆布・煮干し」であり、当然子供はそういうものでとった出し汁で育ってきたのです。なので無意識に「いつもと何か違う」と子供は感じたのではとその人は話していました。

話をもとに戻してこれから少し「出し汁」の原料になる「削りぶし」の話にふれてみたいと思います。
 
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