(2面)
2001/01/24[第1号] Japan Dietetics Institute
【糖尿病です】
病院の診察は「月に1回」となり、まずは自分との戦いの日々となった Aさん。
ご飯は毎回「165g」をきちんとはかり、「参考に・・・」と渡したあげた「献立表」を参考に日々の食生活・生活態度を改善していったよう でした。
昼食は「お弁当」中心の生活になり、あれだけ好きだったビックマック も食べなくなったそうです。

驚いたのは周囲の人たちで、Aさんが「糖尿病」だと知らない「社食」 のおばちゃんなどは「小さなお弁当箱」を持参するようになったA さんを可哀想に思ったのか、「おかず」を差し入れしてくれようとしたこともありました。

最初は「食べること」に対してナーバスになったいた彼も、だんだんとその環境に慣れ、「ゆっくり食べる」ことで満腹感が得られるというこ とを身をもって感じるようになったと話していました。

私は彼に「体脂肪計つきの体重計」を購入するように勧め、できるだ け毎日「同じ時刻」に測るようにアドバイスしました。
「食事療法」をはじめたAさん。 今までの食生活の反動からか、驚くほど体重が落ちていったようです。 「ストレスが溜まるのであまり無理しないように」と助言し、さらに「リバウンドしてもいけないので、ゆっくり体重を落としましょう」と付け加えておきました。

食事療法をはじめて1ヶ月、病院に診察に行った際のAさんの検査結果は 次のとおりです。
 
検査結果
血糖値 118(食前)
尿糖
ケトン体  
たんぱく
HbA1c 7.7
体重 79.6kg
 
血糖値が食前ではあるものの前回に比べ半分近く下がっており、 なんといっても体重が最初の時点よりも7kgも減っていたことに治医の先生は驚いたようでした。
 
私はさらにこのようなアドバイスを行いました。
■今までのように体重は落ちなくても落ち込まないように
 (今の食生活を維持させる)
■「会費」のみ払い続けていた「フィットネスクラブ」に通ってみる
 (身体を動かす)
 
Aさんは仕事帰りに「フィットネス」で1時間「ウォーキング」をするように し、会社の「飲み会」にも心の余裕をもって参加できるようになったようでした。
 
「飲み会」の際に彼自身が気をつけていた点としては次のようなことでした。
■お酒は飲めないのでそれについては心配なかった
■コース料理の時は揚げ物などは食べないようにし、どの皿も少しずつ食べるようにした
■単品注文の際は「野菜」、「豆腐」を中心にした
 
こういう「飲み会」の時、今までやたらドカ食いをしていたらしく、食べ られなくなった今は「場」をもたせることがけっこう大変だと歎いていました。 そのため、1年前にやっとの思いでやめた「タバコ」が時々吸いたくなるとも言っていました。

お正月休みは家でのんびりすることになったAさん。
Aさん自身がすごく恐れていていたのが「お正月太り」でした。

この時、体調の変化としてAさんが気にしていたのは「便秘」 でした。私はAさんが体重が増加することを恐れるあまり、「水分補給」 をきちんとしていないのではないかということをまず考えました。 以前は「便秘」などと縁のなかったAさんですから、食生活の変化 が原因にあるのではと考え「水分摂取」を十分にすることと、 「食物繊維」の摂取をアドバイスしました。

又、実際に会った際に皮膚が「乾燥」しているように思い、「油分」も ある程度は「必要」ということも伝えておきました。

甘いものは禁止で生活してきたAさんに「甘いものも少しならいいのですよ。」 と一言。
「たまにですけど・・・」と付け加えたのですが。
もともと甘いものが大好きなAさんにとってはこの2ヶ月ほどは自分でも 驚くほどの変化のあった期間であったことは間違いないようです。 けれど、あまり無理をしすぎては「持続できない」のが人間の弱い所ですから、少しだけ「ご褒美」をあげることで「食事療法」が継続できるので はと考えたのです。

このことはAさんにとってはすごく効果があったようで、「甘いものは一生 食べられない」と刹那的に考えていた彼に「甘いものも食べられる」と いう「喜び」が食事療法をより効果的なものにしたようでした。

1月13日の診察では次のような結果でした。

 
検査結果
血糖値 113(食後)
尿糖
ケトン体  
たんぱく
HbA1c 6
体重 77.2kg
 
主治医の先生からは「急激によくなっている」とお褒めの言葉を頂き、 その際、「糖尿病手帳」の前回までの検査値を手で覆った先生が、 「今回の検査結果だけみると”健康な人”と同じ値ですね。」と言われたそうです。
このことがよほどうれしかったらしいAさんは「これからも気をひきしめて・・・」と 自分を奮いたたせているようでした。 Aさんがさらにうれしかったのは先生からの「インスリンは普通にでていますよ。」 という言葉だったそうです。
 
 
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