血尿が突然出たり、検診で蛋白尿が見つかる場合がほとんどで、腎疾患の場合、自覚症状が出るまでにかなり病気が進んでいることがあります。
なぜ蛋白尿や血尿が・・・
腎臓には糸球体と呼ばれるものがあり、タンパク質の分子構造より大きいものを体内へ取り込み、小さいものを尿として排泄しています。従って、タンパク質やそれより分子の大きい血液が対外に排泄されるということは、糸球体が機能していないということになります。
 
腎 臓
腎臓のもっとも重要な機能は、血液をろ過して尿を生成し、不要な物質を体外へ排出することです。
機能が低下すると、透析などに頼らなければならなくなります。
腎機能の低下で起こる症状
 
症 状
腎炎
蛋白尿、血尿、高血圧、むくみ
急性腎炎 蛋白尿が1年以内におさまるもの
(子供に多い。大人の場合は自覚症状が出にくいので慢性化することが多い。)
慢性腎炎 蛋白尿が1年以上続くもの
ネフローゼ
強いむくみ、多量の蛋白尿、低たんぱく血症、高脂血症
一次性 蛋白尿、強いむくみが出る。
尿、血液中に大量の脂肪の粒が見られる。
二次性 糖尿病などからくる合併症や、循環器障害などから発症する。
腎臓の機能低下によって、体内の老廃物が排泄されなくなり、体内の恒常性が維持できなくなることを腎不全といいます。
 
腎不全の場合、腎臓以外の機能が原因であれば、それを取り除くことで機能が回復することがありますが、腎臓自体の機能低下が原因の場合には回復が難しくなります。
腎不全が進行すると、尿毒症の症状が出てきます。この場合は透析が必要となります。さらに進行すれば、腎移植に頼るしかないのが現状です。
腎機能の低下を防ぐための効果的な薬もないのが現在の状況ですので、進行を避けるためには、毎日の食事がより重要になってきます。
 
良質のタンパク質って?
体内で合成できない8種類のアミノ酸がバランスよく組み合わさってできている食品

卵、牛乳、魚、チーズ、大豆・大豆製品、芋類

*最近では低たんぱくの小麦やごはん、麺類も  あるので、それらをうま く利用することもよい      方法です。
 
体内の老廃物は、私たちが毎日口にする食物中の栄養素からも出てきます。だからと言って何も食べないわけにはいかないので、なるべく老廃物を増やすことのない食事を心がけることが重要になります。特に気をつけなければならないのは、タンパク質の摂取についてです。タンパク質は窒素酸化物という老廃物を増やし、腎臓に負担をかけるので、良質のタンパク質を摂取するようにしましょう。
このタンパク質の摂取で気をつけなければならないのは、ネフローゼの場合です。ネフローゼの場合、多量のタンパク質が体外に尿として排泄されるため、それを補う必要があります。低たんぱく血症を防ぐため、急性期には一般の人と同じ程度のタンパク質を補ってやり、それ以外はタンパク質を制限することが必要です。
また、塩分も腎臓に負担をかけるので制限しなくてはなりません。
1.タンパク質は良質なものを過不足なしに。
2.エネルギーは過不足なく。3食でとりきれない場合にはおやつ、夜食でとる。
3.塩分は控えめに。
4.脂質のとりすぎによる肥満に注意。
 
食品交換表をご存知ですか?
腎臓病の方はたいてい食事について主治医の先生、栄養士から指導をうけているはずです。
腎臓病の食品交換表は、栄養的に価値の等しい食品を交換することで、比較的簡単に、しかも治療の目的にあった治療食がえきるように工夫されたものです。
食品交換表は表1〜6まであり、表1〜4はタンパク質を含む食品群、表5〜6はタンパク質を含まず、エネルギー源となる食品群という構成になっています。
 
1単位あたりの食品重量の平均エネルギー
 
タンパク質
平均熱量
表1〜2
3g
150Kcal
表3
3g
50Kcal
表4
3g
30Kcal
表5〜6
100Kcal
 
1日の単位配分のしかた
 
表1
表2
表3
表4
表5
表6
タンパク質指示量が60g以上の場合
3〜4
0.5〜1
0.5〜1
13
 
 
タンパク質指示量が50g以下の場合
4.5〜6
0.5〜1
0.5〜1
10
 
 
タンパク質指示量が30gの場合
 
 
 
5〜6
 
 
タンパク質指示量が20gの場合
 
 
 
3
 
 
*表3の野菜類には水分やカリウムが多く含まれています。 むくみのあるときは水分の取りすぎに注意しましょう。
  高カリウム血症のときはカリウムの摂取に 注意しましょう。
*表4の卵は良質のタンパク質なので、1日1個はとるようにしましょう。
*表5、6は表1〜表4の配分で余ったものを配分しましょう。
 
例えば、タンパク質30gで2000Kcalを目標と言われたら・・・
表1〜4はタンパク質は1単位=3gなので
 30÷3=10(単位)

上記の表を見ると、タンパク質30gは表4では「5〜6単位」なので、5単位をとるようにします。
 10−5=5(単位)

表1〜3で残りの5単位を補うようにします。
 ●表1から3単位
 ●表2から1単位
 ●表3から1単位  の配分にするとしましょう。

表1、表2は1単位150Kcalなので、
 150×(3+1)=600Kcal

表3は1単位50Kcalなので、50Kcalですね。

表4は1単位30Kcalなので、
 30×5=150Kcal

これら表1〜4を足してみると、
 600+50+150=800Kcal

 2000−800=1200Kcal

この1200Kcalを表5,6で補わなければなりません。
こういう場合には栄養士などに相談して、高カロリー食品や粉あめなどをうまく活用する必要があります。
 
食品交換表
 
各食品群で質のタンパク質
タンパク質を
含む食品
表1
ご飯、パン、めん 米、オートミール
表2
果実、種実、いも さつまいも、里芋、 じゃがいも
表3
野菜類 スイートコーン、かぼちゃ
表4
卵、肉、魚、豆、
乳とその製品
豚ロース、鶏ひき肉、鶏もも、牛サーロイン、牛タン、豚レバー、卵、牛乳、チーズ、
木綿豆腐、油揚げ
タンパク質を
含まない食品
表5
砂糖、でん粉、
ジャム、ジュース
 
表6
油脂  
 
 
表1
表2
表3
表4
表5
表6
扱い方
主食となり、糖質が多いので上手に利用しましましょう。 糖質が多い食品ですが、タンパク質も含まれています。 タンパク質が多い物と少ない物を上手に組み合わせて。 良質のタンパク質ですが、エネルギーも高いので組み合わせを上手に。 エネルギーを補う時に使うようにしましょう。
おやつなどで取り入れましょう。
エネルギーを補う時に使うようにしましょう。
油を吸収しやすい食品などを使うと効果的。
食塩・水分を控える時 パン・麺には塩分が含まれているので気をつけて。
汁気の多いものは注意しましょう。
すいか、もも、なし、みかん、ぶどうには水分が多いので注意。
種実類は味付きでないものを。
  練り製品などは塩分が含まれているので注意しましょう。
水分制限の時は牛乳、 豆腐は×。
ジュース類は避けましょう。 バター、マーガリンなどは、塩分制限の時は無塩のものを使用しましょう。
マヨネーズについても同様
低たんぱく・高エネルギーの時 交換表備考欄をみて、エネルギーの高いものを選びましょう。
お米も油で炒めて。
  ほうれん草、もやし、ブロッコリー、カリフラワー、たけのこなどは、比較的タンパク質が多い。 たんぱく制限の大きいほど、良質のものを。
調理法はなるべく油を用いて。
粉あめ、加ライナーなどを砂糖に加えて。 揚げる、炒めるなど油を使いましょう。
高カリウム血症・ 高脂血症  

芋類はカリウムが多いので、一度ゆでこぼしをして。
果実のカリウムは問題無し

カリウムが多いので、一度ゆでこぼしをしましょう。   なるべくリノール酸の多いべに花油などを用いるようにしましょう。
(高脂血症)
 
 
別表1
嗜好
飲料
きのこ
海藻
漬物
加工品
缶詰
扱い方

病態により控える必要がある場合は医師、栄養士に相談しましょう。

糖質、タンパク質は体内で吸収しないので、栄養計算は不要。 塩分が多い。 塩分量や成分が不明のものは注意しましょう。
食塩・水分を控える時
×
 
×
×
低たんぱく・高エネルギーの時        
高カリウム血症・ 高脂血症        
 
食べていいもの・いけないもの
【食べていいもの】
腎臓病にはスイカが利尿作用を与えるのでよい。
瓜類、トマト(生食)、かぼちゃなどもよい。
*水分制限のあるときは注意。
 
【食べていけないもの】
卵は良質のタンパク質ですが、生食はダメ!
 
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